まだまだ、明るくなるまで長い夜が始まる。
この辺りで、気力が切れてて、ノドも乾いてるけど、まだ何か普通の道の近くじゃない気がして
明日明るくなった時のために水分補給できなかった。
明かりもなくては動きようも無く、次の機会のため、ひとまず身体を休める事にした。
今まで休憩は木の根っこにもたれ掛かって休んでいたため、足を伸ばして寝っ転がって休める事が心地よかった。
そうしているうちに、心細くなることがあったため、ゲル状着火剤を地面にのばして火を付けた。
それだけで、落ち着けた。葉っぱや、地面が水分を含んでるため、一気に燃え広がる様子もなかった。
そのため、少し大きな火が欲しくなり、四方多めに着火剤を広げ火を付けた。
すると、火は一気に大きくなり、燃え移らないとは思ったが、下手すると山火事もなりかねないと頭をよぎったため
点けたはいいがすぐに手で何度も叩いて、消火した。小さな火で我慢しようと思った。
そうこうしているうちに、ヘリコプターの音が飛んでいるのは分かっていたが
どんどん近くに来ているのが分かり、ここなら見つけてもらえれば引き上げてもらえると思い
ひとまず、大声を出した。「おー」「おーい!」「弟の名前!」
声では、ヘリコプターの音でかき消えて届くはずも無く、何かアピール出来ないかと考え
近くを飛んでいる時に、ライターをチカチカっと明かりを灯しアピールした。
しかし、ライターの火程度じゃ気づくはずもなく、定期的に大声とライターを点けていた。
その内、ヘリコプターの音の性質が変わり、かなり近くに居るのが分かったので
立ち上がって見上げてみると、パッと見がオスプレイの様なヘリコプターが飛んでいるのが分かった。
ちょうど、目線の先まっすぐの方向にいたので腕を目いっぱい上に上げてライターを灯した。
こんな時にライトが手元にあれば、真っすぐ照らして気づいてもらえるのにと後悔した。
何度も、チカチカっと明滅させたり、10秒ほど点けたままにしたりしたのだが、気づいてもらえない。
ヘリコプターの捜索用のライトは自分と直角の右手の方向を向けており、恐らくライトの方向しか見ていない。
ライトが進行方向、後方に向けてもらえればちょうど照らされることは間違いないのだが、空しくも横ばっかり。
声を振り絞って、手をメガホン状にして大声を出しても、やはり届かない。
暫くすると、向きが変わってしまい、さすがに疲れてきて、生命線のライターが点かなくなると
希望が無くなってしまうのが怖かったので、ある程度して体力を戻すことに専念することにした。
睡眠を取り、目を覚ますたびに声とライターでアピールする。
次、目を覚ますとヘリコプターの音がだんだん小さくなっていくのが分かり
あー今日はとりあえず引き上げていったのだろうと判断した。
そのため、もう見つけて貰うことは諦め、明日陽が昇れば、自力で歩いて行けば良いと覚悟し、体力を戻すため寝る事にした。