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南郷大島
釣りサバイバル生還記05
「夜を明かす」
(読み物)

何度も寝ては起きて、野生生物のけん制も考えて、火を付けては大声を出し、また寝ることを繰り返した。

時々寝返りを打ったりすると、セミのギャギャという鳴き声が聞こえたりした。

時々頭のそばを振り返ると、うっすら光る虫がいて、ホタルにしては明滅がなく色が薄い水色の様な色だったので

違う虫かもしれないが、少し気を紛らすことが出来た。

なかなか、時間が進むのは遅いもので、何回かして目を覚ますと時計を見るとAM2時過ぎ。

何か気配がして、良く神経を研ぎ澄ましてみると、おそらく目の前の向こう側に

何か哺乳類のような生物の声が聞こえた。たぶん、鳴き声の方向からして、こっちを向きながら鳴き声を出している気がする。

斜め前方にも同じような鳴き声が聞こえてきて、さすがに怖くなり、火を照らして見てみたが見つけることは出来ず

とりあえず「あー」などと大声を出して警戒しておいた。「グルルゥ」の様な声では無かったので、また寝た。

しばらくして、また起きるともう「ケコ、コクコココ」の様な初めて聞くその鳴き声は聞こえなくなっていた。

鳴き声が無くなり、安心するとまた別の心配事が出来た。それは気温で、少し寒くなってきたのだ

熱を閉じ込めるように身体を丸めてまた寝る事にした。

次起きると、さらに寒くなっていて時計を見るとまだAM4時も廻っていない。

さすがにまずいと思い、また着火剤を取り出し火を灯した。手元しか暖まる事が出来なかったが、それでも幾分マシになった。

この時期明るく白けてくる時間は、大体5時~5時半だろうと、まだまだ待ち長いと思いながらも

明るくなったらどうするかを考えながら、うつらうつら待つことにした。

そうこうしてるうちに、そろそろ5時も廻り、陽が昇り過ぎると暑くなって動けなくなるなと思いながら

動けるぐらいまで明るくなるのを待ちながら、次の行動に備えて気合を充てんしながら待機した。

そして、木々の隙間からうっすら木漏れ日が見えはじめ、足元も見えるようになってきたため出発した。

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